株式会社バルーン 取締役CXO

本橋 徹

TETSU MOTOHASHI

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バルーンのアセット=ストーリーと、それを紡ぐフードテラー。

本橋様
本橋

いま我々はシーンを描くストーリーをまとめて、アセットにしようと取り組んでいます。ストーリーは生産者の顔が見えるといった単純なものでなく、フォトジェニックな食材、背景の“小咄(こばなし)”が面白い、嫌いなものが食べられるようになった、盛り付けが素敵です、などなど興味をそそられるかどうかにあります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

お客様、食材、生産者、どの切り口でもストーリーを描けるわけですね。

本橋様
本橋

はい、ビジネスモデルの話になりますが、1個の水をネットで売るとき、ランディングページ(LP)は普通ひとつじゃないですか。実際は、「この水はある地方の、人が何年も足を踏み入れていなかった地域で採れた初めての水です」というストーリーの他に、「実はその水はパスタを茹でるのにぴったり」だとか、ひとつの食材に複数のストーリーがあってもいいはずです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

なるほど、ひとつの食材にマルチなストーリー。

本橋様
本橋

こっちが刺さる、響くというのは、実は人によってバラバラだと考えています。ひとつの食材にマルチにLPが存在して、ストーリーが全部違う。いま、それをやろうとしています。

たとえるなら、ニュースピックスの食材版とも言えるでしょうか。ひとつの記事にたくさんの識者のコメントが付くように、一個の食材に対していろんなストーリーが付いていく。そしてそのストーリーを書く識者を、「フードテラー」と名付けました。ストーリーと共に、「フードテラー」もアセットのひとつになります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

フードテラーが前面に出てメディアで取り上げられるなど、目立つことも重要ですね。

本橋様
本橋

だからすでに料理研究家や食に特化したインスタグラマーとは話をしていますすし、そうした方々にフードテラーになっていただきたいと思っています。さらに、なっていただいた後のイグジットも準備するように取り組んでます。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

フードテラーのイグジット、ですか。具体的にはどんな・・・?

本橋様
本橋

たとえばインスタグラマー。いろんな粒度でいらっしゃいますが、食に特化している人とか、徐々にバーティカル化しています。インスタグラマーのゴールは何かと言えば、まず、企業からの仕事をもらうことではないかと。ひょっとしたら自分がポストした内容がある程度まとまってキンドル書籍化するというイグジットもあるし、フードライターとして行けるかもしれない。最初はフードテラーとなって食を語り、その後のイグジットとしては他のメディアに出ていくとか、書いたものを束ねて出版するとか。そうした展開をまだアイデアベースではありますが、考えています。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

フードテラーは、いま何人ぐらい登録されてますか?

本橋様
本橋

まだ主に社内で記事を書いて、外部の人とはいろいろ話しているところです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ストーリーはどのくらい数を用意すればいいのでしょう。

本橋様
本橋

まだ解は出ておらず、テストしているところです。一例を挙げると、ハンバーグのストーリーを三つ用意して、四つ目はスペックと値段だけのページにします。そしてそれぞれのページに同じ数だけ集客して、どっちがコンバージョンしていくか見ています。するとスペックと値段だけのページはまったく売れず、ストーリーA,B,C,はパラパラと売れていきます。食に関して言えばアマゾンのようなシンプルなページは、信頼感というベースに加え、購買のタイミングがマッチして初めて成立します。ただシンプルにすれば良いと言うものではないように思います。一方でストーリーを増やせばそれに比例して純増するかどうかは、これからの見極めです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

そもそも社名も知らない、買ったこともない。そこでストーリーを読んだだけで買うというのは、バリアが高いですよね。

本橋様
本橋

むちゃくちゃ高いです。だからフードテラーの人たちが重要になってくるんです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ある程度、ブレイクするのは有名人などの起爆剤が必要ですよね。

本橋様
本橋

そうですね、起爆剤はフードテラー起点もありますし、食材に紐づくストーリーと言うことで、メディアに取り上げられる可能性も高い。PRにもなります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ヨドバシカメラさんでも、何十年も店舗でカメラを売っている人がECに携わっている。だから売れているわけですからね。

本橋様
本橋

バルーンは最初、ヤフーショッピングと楽天市場でクイックスタートしました。売上確保と世界観の確認のためです。その時は転換率(CVR)が一般的にECサイトで平均と言われるラインよりかなり高く、「売れるじゃん!」と沸き立ちました。それが自社サイトになると、そこまで高くはない。やはりヤフーや楽天は、買う側からするとバリアが低いのだとわかりました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

決済情報も登録していますしね。

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