株式会社バルーン 取締役CXO

本橋 徹

TETSU MOTOHASHI

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逆に質問。ユニナレは、なぜ検索に特化したビジネスを?

本橋様
本橋

ここで逆にお聞きしたいのですが、井上さんのコアは検索じゃないですか。それ以外にキャリアの幅を広げるとか、考えたことはないんですか?

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ないんですよ、1回も。

本橋様
本橋

ホントですか、すごい!

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

私は新卒で入った会社では、研究者になりたいと考えていました。でも最初の転職の時、「検索にしよう」と決めた。それから会社が変わってもずっと検索です。

本橋様
本橋

検索のもうひとつ上の抽象度というものがマッチングだとすると、“検索+アルゴリズム開発”という方向には行かないんですか?

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

マッチングでもレコメンデーションでも良いし、いまも包括的に携わっているのですが、軸は検索なんですよね。私の中ではインターネットのいちばんの本質はコミュニケーションだと思っています。インターネットがあれば、興味や仕事などテーマに沿ってコミュニケーションができる。これが本質だと思うんです。

つながる手段はアプリケーションのレイヤーでも変わってきますが、本質はコミュニケーションをサポートするところに行き着くと思っています。ただ、あまりに情報が多くて見つけられないから、必ず検索が必要になってくる。それが進化して、コミュニケーションをサポートする形でもう片方の車輪になる、というのが私のイメージです。

本橋様
本橋

検索だと、キーワードというシグナルに対する価値じゃないですか。そのシグナルをキーワードではなく、もっと別なものに対して返す、というのも検索になりますか?

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

それもシステムの内部で行っていることは、検索と言えますね。

本橋様
本橋

じゃあ、GoogleHomeとかアマゾンエコーとかボイスサーチとか、タイプフェースを介さないフォーマットも検索に含まれますか?

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

もちろんです。今までの文字入力だと不便を強いられていた部分が、声によって自由になります。裏で支えている技術もそうした状況に合わせて、「この人が言っていることはこういう意味だから、こうした検索をしなくてはいけない」というように変わって行くとは思います。でも、検索そのものは、そこにあり続けます。

本橋様
本橋

いまこうやって話している時でも、言語というインターフェースを1度、介しているじゃないですか。その時点で感情とか思いはわき上がっているわけで、究極的にはそこがダイレクトにつながる検索になるかもしれないですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

声、音ですべてに対応する、たとえば商品検索を声だけで済ませられるかと言えば、それはまだちょっと難しい。さらに実店舗に入ってきたときの感じまで理解してくれるかと言えば、まだとてもそのレベルには追いついていないですね。

本橋様
本橋

それにしても、検索から軸がずれていないって、すごいですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

やっぱり強烈な原始体験でしょうか。エンジニアで、自分で作りたいという気持ちが大きくて、ビジネスになるかなんてあまり考えてきませんでした。これを自分で作るとすると、どうしたらいいんだろう・・・そうした興味がメインドライバーですね。

本橋様
本橋

インターネットはコミュニケーションという原点で言うと、何かを投げて何かを返してもらう、それのひとつのフォーマットが検索だと思います。でも拾えるシグナルの量は減っていますし、シグナルを通すデバイスも変わってきています。そうした中で、シグナルやデバイスは縦断できるという見立てなのでしょうか。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

そこはいろいろな対応が出来るはずですし、とにかくコアの検索という存在はなくならないと思うんですよね。ただWeb検索はGoogle一人勝ちになってしまっているので、そこだけは選択肢が無くて残念です。

本橋様
本橋

Googleも以前は色々な検索エンジンと競合してきた経緯があるじゃないですか。でも最近のスタートアップ、たとえばAirbnbなどは、競合が出てこない。いまって領域によっては競争が減っているような印象も受けるのですが、どう思われます?

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ひょっとして、私たちの目に触れる前の争いはあるかもしれませんね、出資者が最終的にAirbnbに決めているだけで、それ以前の選択肢はたくさんあることも考えられます。

本橋様
本橋

昔、インターネットが広がっていった時みたいに、ドリームをイメージしづらくなってきていると感じます。もっとリアリスティックというか。それで勝てるの?というのが先に出てきてしまう。すごいと言われるサービスは、昔以上に一人勝ちをしてるように見えます。


Part2へ続く

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ユニナレ対談