対談TALK

03

ヤフー前社長・井上雅博[追悼対談]

Part1 突然の訃報

2017年08月03日

ヤフー株式会社 代表取締役社長

宮坂 学

MANABU MIYASAKA

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理屈に合わないことはするな、ネットと喧嘩するな。

井上(ユニバーサルナレッジ)
トシ

そもそもヤフーは、最初は何の事業をしているのかよくわからないインターネットの会社でした。ディレクトリ検索から始まって、コンテンツも何もなかった。でもそれが今では、何でもあると言えるほどビジネスが育ってきている。これは他の国では例がありません。メディアも課金もECも手がけて、というのは世界でも稀ですよね。

宮坂様
宮坂

そうした拡大局面における井上さんの言葉で覚えているのは、『理屈に合わないことはするな』という口癖です。あと、『横着するな』もあったかな。特に印象に残っているのは、『インターネットと喧嘩するな』でしょうか。インターネットは広がる方にしか行かないから、喧嘩してもしょうがないと。数学科の出身だからかもしれませんが、理詰めで考えたらこうなるはず・・・そんな大局観を持って語っていたような気がします。

井上(ユニバーサルナレッジ)
トシ

インターネット性善説ではないですが、良い方向にどんどん広がっていくことを大前提に、サービスを拡大していく。私もそんなベーシックな思考を感じます。

宮坂様
宮坂

現在、まさにそうなりつつありますが、昔から『ソフトウエアに不可能はない』ともよく言っていました。当時は本当かな、と思っていたわけです。それが最近では囲碁の名人にもソフトが勝つようになったし、自動運転も本格化しています。今であればたしかに不可能はないと言われて納得感はありますが、井上さんは20年くらい前から言い続けてきたんですね。そうした大きな流れみたいなものが、彼の中にはあったのかな、と思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
トシ

ヤフーは究極のポータル戦略じゃないですか。サービスを100個、150個、200個と作って、育て続ける。サービスをとにかく拡張し、ポータルを貫く戦略にこだわっていた気がするのですが、それはどこから来ていると思いますか。

宮坂様
宮坂

ご自身がインターネットを使う理由を、一生懸命、考えていたと思うんです。インターネットができたばかりの頃は、ブラウザが徐々に生まれ、使う理由も増えていった。とはいえ初期はマニア向けで、たとえばホワイトハウスのページが見られるといっても、普通の人は「?」なわけです。それのどこがすごいの?と。

そうした中で、井上さんはインターネットそのものが好きな一方で、世間の感覚をよくわかっていたと思います。みんなが見たいものがなく、このままでは使う人も増えていかない。だから自前でいろんなコンテンツをつくろうと考えたわけです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
トシ

飛び先がない、ならば自分たちで作ってしまおうと。

宮坂様
宮坂

なければ使う理由もないし、流行らないという論理です。以前、感心したことがありました。これからインターネットを使う人はものすごく増える、そのプロセスを株主総会でプレゼンしたことがあるんです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
トシ

それは具体的に・・・?

宮坂様
宮坂

ヤフーは日本のインターネット普及率が3%の時に作られたのですが、そこから20%、30%と伸びる際に、何が起きるか。3%の次に流入してくる3.1%や3.2%の人というのは、最初の3%の人たちへ「インターネット繋いだけど、どうしたらいい?」と聞くはずだと言うんです。すると答える方に、「とりあえずヤフーを使いなさい」と言ってもらえばいいと。これはすごく理にかなっていると感心した記憶があります。

マーケティングリサーチとは違う結論が出るかもしれませんが、とりあえずヤフーをブックマークに入れてもらい、老若男女、誰が見ても用が足りるようにすればいい。そして実際、その通りになっているんです。

Part2へ続く

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