対談TALK

03

安武弘晃(元 楽天株式会社)

Part3 Amazonと闘う

2016年11月04日

元 楽天株式会社 取締役 常務執行役員
カーディナル合同会社 代表社員

安武弘晃

HIROAKI YASUTAKE

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楽天の強みは、マーチャントの工夫が生きる「バザール形式」。
ロングテールの製品がある国なら、ビジネスモデルは成立する。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

これもお聞きしたいのですが、楽天は各マーチャントがどんな商品を持っているのがわからない・・・これって解決したい課題ですか?

安武様
安武

もちろん解決したい課題です。結局はカタログなんですね。世の中に存在するのかしないのか、カタログがある分野であれば、昔からJANコードがあります。でも食品だとマスターがありません。

楽天も出品するときに、商品説明文にJANコード入れて下さいとお願いしているんです。コードさえあれば、そこに引っかけて商品を認識できますので。問題はコードがないエリア、リテール市場では大多数のところでどうするか、そこが技術の壁だと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

アマゾンだと独自の番号を振ってしまってますが。03

安武様
安武

楽天も独自のカタログをつくるプロジェクトをずっとやっていて、技術研究所の大きなテーマになっています。入力される商品の説明文を自然言語で解析して、これとこれは同じらしい、ということをずっとやっています。でも、いまだになかなか綺麗にはならないようです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

技術の力で解決というよりは、コードの入力をマーチャントへの制約にしてしまう、という方向には行かない?

安武様
安武

楽天はバザール形式なので、それをやっていないのが楽天らしさであり、だから変な商品がたくさん売れるんですよね。アマゾンは堅いものしか売れないので。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

カタログにしてしまうと、アマゾンとガチンコ勝負になっちゃいますよね。

安武様
安武

わかりやすいのは、蟹とチーズケーキのセット、というのが飛ぶように売れていた現象です。そのセットって、分類できないんです。北海道特産品ではありますが。「先に型番決めてください」としてしまうと、こうしたクリエイティビティを削いでしまうわけです。

楽天のビジネスモデルはエンパワートメント・モデルなので、店舗さんが好きに自由にやることでお祭り的に盛り上がっていきます。それがビジネスモデルです。根っこにかかるところなので、全部紋切り型に同じようには出来ないところがあります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

検索性とかは追求せずに、バザールを楽しむ場だと。

安武様
安武

それが強みであり、アイデンティティでもあります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

これ、次の質問にもつながるのですが、その価値観は、日本以外の国で通用するんですか?

安武様
安武

そこは難しいところです。今のところ、上手く行っていないというのが客観的な事実だと思います。でも、たとえばフランスに行けば、山ほどのチーズがあります。ドイツに行けば、同様にハムがあります。それらを考えると、楽天のビジネスモデルは成立すると思います。

ロングテール型で、商品は少ないけど欲しい人が一定数いるというマーケットは、絶対あると思います。それに楽天のアプローチが上手く行くかは別の話になりますが。マッチングで考えると、究極のデータはGoogleです。Googleは商品に限らず、有象無象の情報をオーガナイズしてマッチングするわけで、ロングテールは突き詰めるとGoogleになると思います。

ただGoogleもプロダクトカタログみたいなものを試していますが、うまくいっていないですね。そこは誰もまだ綺麗に解決はしていないと思います。そこにニーズはあることは間違いないですが。

アメリカはアマゾンに近くて、消費者はロングテールをそこまで求めていないと言えます。どこのショッピングモール行っても置いてあるものはそう変わらない。そうした大量生産、大量消費の国もあります。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

楽天が進出した国はどこでしたっけ?

安武様
安武

フランス、スペイン、UK、ドイツ、オーストラリア・・・シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ。あとはアメリカ、ブラジル。東南アジアは撤退しますが。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

けっこうありますね。似たような価値観で、成功しそうな国ってあるんでしょうか。

安武様
安武

いま、出し忘れましたが、台湾ですね。ゼロから初めて2番か3番のポジションにつけてます。Yahoo!ショッピングが一番ですが。いい楽天モデルを体現していて、上手く変わっているところの一つです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

実はアマゾンも、そんなに多くの国には出て行ってないじゃないですか。数カ国の限定で、グローバルな会社じゃないですよね。みんなが求める会社であるとも言い切れない。

安武様
安武

価値観自体は機能しているのでしょうが、それが通用するマーケットサイズかどうか、つまり投資に見合うかどうかだと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

現地の競合がいる、ということでしょうか?

安武様
安武

アマゾンモデルを模倣している、たとえばインドのフリップカートとか、まさにそうしたパターンだと思いますね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

なんとなく日本発の企業で、他の国で成功しているネット企業ってないですよね。これはなぜですかね?

安武様
安武

一般的な理由は山ほどあるとは思いますが、個人的な意見で言うと、日本発のみならず、他の国でも同じ状況です。たとえばフランス発で成功しているサービスって、思いつかないですよね。実はグローバルで成功しているサービスは、ほとんどシリコンバレー発。その差は資本力だと思っていて、あそこだけが強い構造になっています。

また中国企業は国内マーケットで閉じており、世界はグローバルと中国、2種類に分かれています。グローバルはシリコンバレー系の企業に席巻されていて、中国は地球上の別の国として存在していると言えるでしょうか。04

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

グレートファイヤーウォールの中か、外か。

安武様
安武

そういう構図に見えています。その差は何かと言えば、人間の能力と言うより、資本の回し方だと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

それは三木谷さんとしては打ち破って行きたいと・・・

安武様
安武

もちろんそうです。Eコマースにもこだわっていないので、金融業とかもグローバル展開していますし、Viberも買収しましたが、アカウントベースで7億人くらい使っているんじゃないでしょうか。

つきつめていくと商売は簡単ではないので、成功するまでいろいろやるという大ざっぱな結論にしかならないと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ちなみに、海外展開したとき、ポイントは日本とは別ですか?

安武様
安武

別ですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

そこは共通化はしない・・・?

安武様
安武

国の法制度がバリアになっています。

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