検索エンジンの開発は、
人を結ぶ尊い仕事です。

取締役前川 英之

ヤフー株式会社検索事業部検索企画マネージャー、バイドゥ株式会社検索企画マネージャーを経て、ユニバーサルナレッジ株式会社を共同設立。

体験により検索の価値に気づく

検索エンジン開発に携わる前は、サイトの制作をしていました。当時、かなりの労力をかけてコンテンツを作っていたものの、思ったようにアクセスが伸びません。コンテンツには自信があったのに、なぜだろう・・・ある日、ふとひらめきました。そもそもサイトの存在を知られていないのだ、と。ウェブ検索で見つけてもらえなければ、良いサイトや良い情報があっても存在しないに等しい。そう気づいたのです。

検索を極めたくてヤフーへ

時期的にはGoogleが台頭してきた頃で、それはつまりWebが膨張し、情報量が圧倒的に増えたことを意味していました。象徴的な現象として、それまでインターネットの入り口だったヤフーからGoogleへユーザーの流出も始まっていました。ヤフーも強い危機感を持ち、検索エンジンの自社開発を決定。そうした中、「良い情報を探している人に、良い情報を届けたい」というテーマを追求しようと思い、成長著しかったヤフーへ入社を決めました。

クエリーログが人生観を変えた

ヤフーでの検索の仕事は、想像していた以上にエキサイティングでした。検索エンジン開発の虜(とりこ)になったと言っても過言ではありません。きっかけは、ユーザーの「クエリーログ」に触れたこと。もう、人生観が変わったといってもいい体験でした。1日に何千万という検索が行われているうえに、今日と昨日のクエリーを比較しても、数十パーセントが入れ替わる。毎時毎秒、変化するログを眺めていると、単なるデジタルデータではなく、無数の生き物が泳ぎ回る「うねり」のような感覚を覚えたのです。

誰もやらないなら私たちで

「Search is verb(検索とは動詞である)」というフレーズがあるように、クエリーの背景にはユーザーひとりひとりの検索意図があります。それぞれの検索意図を理解した検索結果を返すことはユーザーを助けることであり、検索エンジンの開発は「人と人を結ぶ尊い仕事」という想いを持ちました。今もそれは変わっていません。残念ながらその後ヤフーはウェブ検索の開発をストップし、その後に携わったバイドゥも日本での開発をやめることになりました。まわりを見渡したとき、もうオーナーシップを持って開発できる検索エンジンの会社はありません。それならば自分たちで検索に関する仕事をしよう。そう決意して立ち上げたのが当社、ユニバーサルナレッジです。

突き詰めて考える楽しさ

私は企画・ディレクション・検索品質評価・基本設計など、エンジニアリング以外の業務を担当しています。開発対象がウェブ検索から商品検索に変わりましたが、「最良の答えを返す検索エンジンを作りたい」という想いは、まったく変わっていません。中でも検索結果が売上に直結するECサイトは、検索エンジン開発の経験を生かしての改善提案が可能です。起業時のそうした着想は、今にいたるまで正しかったと確信しています。検索者の意図をきちんと読み取り、その意図に合う最良のデータは何かをとことん突き詰めて考える。そうした業務に携わっていると、本当に楽しいと感じます。

創業当時の驚きと気づき

実は創業当初、当社はコンサルティングを主業務にしていました。その流れでECサイトの内実を見ていったところ、「ログを見る、クエリーを分析する」ということがほとんど行われていないとわかりました。そもそも何が検索されているのか、把握できていない。そうした事実には、かなり驚かされました。結果として、検索結果の改善方法は見当もつかないというお客様が大半でした。そこで私たちは、まずお客様がお困りのポイントをヒアリングし、クエリーやログの分析に注力。すると改修案や理想の運用体制などが見えてきたのです。

検索エンジンの自社開発を決意

しかしながら、いざ改善策の実行をお願いすると、そこでストップしてしまいました。検索エンジンに精通したエンジニアがお客様の社内におらず、さらにパッケージ化やローカライズされた海外の検索エンジンでは、内部がブラックボックスとなっていて改修ができません。せっかく改善案が見えたのに実行できない・・・そんな歯痒さに直面してしまいました。「それならば、自分たちでベストの検索エンジンを作ろう」。いま振り返ると、お客様に求められて、自然に開発が始まったように思えます。

お客様と長いおつきあい

私たちのサービスは、納品して終わりではありません。常に分析と改修を繰り返していきますので、運営者の方や、サイトの向こう側のお客様とは、長いおつきあいになります。事実として当社プロダクトのユニサーチ、ユニサジェスト、いずれの導入であっても、「運用・ログ解析・改善」のフローは必ずセットにしています。このように関係する全ての方々と成長していけるところが当社の魅力であり、また働く者としての醍醐味であると思っています。最後になりましたが、当社プロダクトのアルゴリズムは言語非依存であり、他言語にも転用が利くと思っています。いずれは海外へと、夢は膨らむばかりです。